熊本県の中心部にある八代市街を一望できる高台に、中山砂利有限会社の採石場がある。天気がよい日には、遠く雲仙普賢岳の姿を見ることもできるほど、眺望絶佳の地である。全体で45万m2という規模で東京ドーム10個分に相当する広さを持つ。そのうち現在、開発されているのは17・8万m2。つまり、今後約150年にわたって供給可能だということになる。
2005年に創業50周年を迎える中山砂利は、地元でも、新しい工法を他社に先駆けて導入する「チャレンジ精神に富んだ会社」と評されている。
先代の後を受けて、10年前に社長に就任した中山英朗代表取締役の打ち出す方針のもと、次々と斬新な方策を実行に移してきた。たとえば自走式破砕機ガラパゴスの導入は、全国の採石場のトップを切ったものだったし、今回の取材対象である大型油圧ショベルPC800にしても、Aロックプラス一本爪リッパ仕様で採石場に投入されたのは、全国でも屈指の早さである。
「私が特別新しいもの好きというわけではないんですよ。むしろコマツさんが最新の情報を私のところに持ってこられるために、私どもが結果的にトップバッターにさせられているのでは」と中山社長は笑いながら謙遜する。
5年前にプラントを一新した。ベンチカット工法を採用したことにともなった対応である。
「採石業界には、かつては、言葉は悪いですが、安ければよかろう、という体質がありました。しかし私は、これからは品質重視に切り替えなければならないと考えたんです。また、コストアップ要因のできる限りの排除も大きなポイントでした。当然、導入する機械もそういう観点から選択することになります。ガラパゴスの導入も、PC800という大型重機を選んだのもいずれもこうした方向に沿ったものでした」(中山社長)
現場では、Aロックを搭載したPC800が縦横に働いている。一本爪で力強く礫岩を掘削していたかと思うと、直後にはバケットに付け替えてガラパゴスに原石を投入している。その付け替え時間は1分とかからない。
「以前なら、アタッチメントの交換といえば大仕事でした。ピンをクレーンで吊ったり、2、3人がかりで半日近い時間を要したものです。その時代から考えれば、このコマツのAロックは夢のような性能ですね」

中山砂利では、かつて、ブルドーザで掘削し、ホイールローダで運び、油圧ショベルでスクリーンにかけていた。一工程に3人がかりだったのである。しかし今ではPC800が掘削し、ガラパゴスに投入するまでが一工程だ。一人二役をこなしているのだ。これだけでも相当な効率化をもたらしたが、PC800の投入効果はこれだけではない。従来のブルドーザによる掘削工法では、良質の原石と多少落ちる原石が混在され、品質の安定が難しかった。しかし、一本爪を搭載したPC800ならば、良質な岩盤のピンポイント掘削が可能なので、徹底した品質管理ができるようになったのである。
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