「無人で働く」という未来が、やってきた。

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「無人で働く」という未来が、やってきた。

渇いた風に、赤土が舞い上がる。摂氏50度を超えることも珍しくない灼熱の地。身体からは、瞬く間に水分が奪われていく。オーストラリア北西部、ピルバラ地区にある鉱山。土が赤いのは、地盤の鉄分が高いこの地域一帯の特色だ。

採掘をしている超大型油圧ショベルのもとへ、ダンプトラックがやってくる。直径3・8メートルものタイヤが、大地を掴む。立ち昇る土煙。3階建の家屋ほどもある世界最大級のダンプトラックだ。しかし驚くのは、その大きさではない。実は、このトラックには、運転手がいない。

「無人で働くダンプトラック」。その秘密は、ICT技術にある。コマツが30年以上も前から進めてきた試みが、この赤土の大地で実を結んだ。GPSと無線ネットワークを駆使して中央管制センターから全ての無人ダンプトラックに指示を出す。エンジンを始動させる。ルート通りに走らせる。広大な鉱山のどの場所で鉄鉱石を積み込み、どの場所まで運ぶのか。13台のダンプが、整然と列をなして採掘場に向かい、油圧ショベルのもとへと進んでいく。細かな指示は、油圧ショベルからも出され、ピタリと所定の位置に止まる。

ここに、鉱山と機械の新しい関係がある。砂嵐で10メートル先も見えなくなる過酷な現場で、24時間不眠不休で働きつづける現場で、人が運転するよりも安全で、生産性の高い「無人で働く」という新しい働き方が、生まれた。

この鉱山には、「フライイン・フライアウト」という言葉がある。気候の厳しい現場ゆえ、運転手たちは、鉱山から遠く1100キロ離れた街パースに住む。休むことのない2週間の勤務を終えると、彼らは家族の待つ家へと、飛行機で帰っていく(フライアウト)。そして、1週間かけてカラダとココロを休め、また飛行機で現場に入る(フライイン)。それほど過酷な勤務シフトが、無人ダンプトラックの導入で変わった。

コマツがつくったのは、ダンプトラックという機械ではない。「無人で働く」というシステムなのだ。現地スタッフと、ICTの専門家であるアメリカのスタッフと、そして日本のスタッフが、ひとつのチームとなってソリューションを生み出し、山の仕事を変えた。

近い将来、この地域全体で、最大150台の無人ダンプトラックが働く予定となっている。そう 、鉱山の未来が、もう、始まっている。

ICT技術と、グローバルチームワークで、世界の現場を変えていく。

日経新聞全国   2013年06月13日 (木)

日刊工業新聞   2013年06月13日 (木)

フジサンケイビジネスアイ   2013年06月13日 (木)

北國新聞   2013年06月14日 (金)

富山新聞   2013年06月14日 (金)

朝日新聞 全国   2013年06月17日 (月)