南半球のCO2も減らそうと思う。ハイブリッド建設機械、コアラの国へ。

PDFpdfファイルでご覧いただけます。

ファイルサイズ ・1712K ・1486K

GET Adobe Reader

AdobeこちらよりAdobeReaderをダウンロードできます。

南半球のCO2も減らそうと思う。ハイブリッド建設機械、コアラの国へ。

通勤客を運ぶフェリーが、対岸のオフィス街へ向かう。遊覧船が、オペラの殿堂に見とれる観光客を運んでいる。南半球。シドニー湾の、ある冬の朝。その海の上に、仕事場へと向かう一台のコマツがいた。ハイブリッド建設機械HB205-1。2年前、世界に先駆けて開発された「エコ建機」である。

建設機械をバージ船で運ぶ。日本ではあまり見かけないこの光景も、オーストラリアでは、珍しいものではないという。島や海岸線に近い現場へは、陸路で向かうよりずっと早い。その中に「ハイブリッド建設機械」が混じるようになったのは、今年5月からのことだ。

HB205は、一言で言えば「建設機械のハイブリッドカー」である。ディーゼルと電気のハイブリッド。建設現場で働きながら自ら発電と蓄電を行い、燃費を向上させる。その分、CO2を25%ほど減らすことができる。「建設機械で、ハイブリッドカー?」。開発当初は、多くの現場でずいぶん驚かれた。それが、いまでは日本から、中国、北米へとその仕事場を広げている。そしてこの春、南半球オーストラリアへと渡った。

「この国には、コアラやカモノハシといった固有種が多いでしょ。環境や生態系を守ることに、厳しいお国柄なんです」。教えてくれたのは、コマツオーストラリアのスタッフだった。ここでしか会えない動物がいる。それは、この国で生きていられなくなれば、絶滅することを意味する。「だからなんでしょうか。ハイブリッド建設機械への反応は、予想を超えるものでした」。ハイブリッドの説明に、興味深く耳を傾けてくれる人が多かった。そういう日本の技術を海外に紹介できたことが、何よりうれしいことだった。そう彼は言った。

環境に配慮すること。エネルギーを有効に使うこと。それは、個人や企業の枠を超えて、今の社会に生きるすべての人の、共通の課題である。建設機械一台で変えられることは、決して大きくないかもしれない。それでも、積み重なれば、きっと何かの力になる。

シドニー湾を進むバージ船と並ぶように、カモメたちが飛んでいた。「ようこそ、オーストラリアへ」。HB205の黄色い車体に向かって、そう言ってくれているような気がした。

日刊工業新聞   2011年09月16日 (金)

日本経済新聞 全国   2011年09月26日 (月)

読売新聞 東京本社   2011年09月27日 (火)

フジサンケイビジネスアイ   2011年09月27日 (火)

朝日新聞 全国   2011年09月29日 (木)

日経産業新聞   2011年09月30日 (金)