世界遺産を、傷つけないように、そっとそっと。

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世界遺産を、傷つけないように、そっとそっと。

コマツは小型機械事業強化のため、小松フォークリフトと小松ゼノアを本年4月に合併し、新たに、コマツユーティリティ株式会社をスタートさせました。新会社で開発・生産する小柄なコマツにご期待下さい。

鳴くよウグイス平安京。学生時代、そう暗記した方も、多いのではないだろうか。794年。いまから1200年ほど前、この国の都は、平安京に遷された。その後、都の正門、羅城門をはさむように建てられたのが、東寺と西寺である。いまでは石碑だけが残る西寺とは対照的に、唐から帰国した空海が、天皇から譲り受け栄えた東寺。五重塔をはじめ国宝25件、重要文化財52件。1994年には京都の17の寺社や城とともに、世界文化遺産に登録された。

この東寺の境内を仕事場のひとつにする、コマツがいる。建設機械と聞いてまず思い浮かべるのは、建築現場での姿だろうか。腕を振り上げ、土や瓦礫を高々と持ち上げる力強い仕事ぶり。しかし、自動車にもダンプトラックから軽自動車まであるように、建設機械にも、実に様々な大きさがある。ここ東寺で働くコマツは、ちょうど人がひとり乗るくらいの横幅。「小柄なコマツ」である。器用にアームを折り曲げると、指先まで神経が行き届いた手のように、オペレータの操作に反応する。狭い場所こそ自分の仕事場だといわんばかりに。時にしなやかに、時に俊敏に。

境内での仕事は、ひとつではない。たとえば、古くなったお堂の解体作業に関わることがある。時には、四季折々の花で彩られる庭園内の側溝を整備し、電気の配管を埋設する作業も行う。毎年正月に行われる伝統行事にも、実は、人知れず一役買っている。お坊さまたちが歩くため特別にしつらわれる玉砂利の道。その道をつくるために、砂利の積み下ろしをすることも、ここ数年の恒例の仕事なのである。そうした工事のいっさいは、世界遺産ゆえに、文化庁への申請のもと、慎重に慎重に行われることになる。実は、注意が必要なのは、目に見える建造物や庭園だけではない。江戸時代などの古い文献には、現在は残されていない回廊跡が記されている。図面と照らし合わせながら、見えない遺跡に触れないように、小さなコマツは汗を流す。大切な遺産を傷つけないように。この国の文化を傷つけないように。それが、世界遺産の中で働くということである。

京の空を突き刺すように立つ五重塔。歴史上の人物たちも歩いた境内。その美しさを、いつまでも守り続けようとする人々の営み。1200年という時間の重みを感じながら働く喜びが、黄色い小さなカラダいっぱいに漲っているようだった。

人のための
道具だから。
社会のための
道具だから。

日経新聞   2007年4月21日 (土)

読売新聞   2007年4月22日 (日)