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特集:ICT建機の現在と未来

ICT建機/施工の将来性

ICT事業本部長 黒本 和憲

ICT事業本部長 黒本和憲

建設・鉱山機械ICT化の「原点」

コマツの建設・鉱山機械のICT化は、1990年代後半、車両稼働管理システム「KOMTRAX」の商品化からスタートしました。GNSSやセンサの情報を収集し、遠隔地から車両の位置や稼働状態等を把握するKOMTRAXは、2001年に主力油圧ショベルに標準装備され、2013年3月に、搭載台数が全世界で累計30万台を突破しました。

KOMTRAXデータの活用も進んでいます。車両位置情報やエンジンロックを活用した盗難抑止、中国におけるファイナンス与信管理、稼働情報や燃料消費データを利用した省エネ運転支援、稼働時間に応じたメンテナンスや部品交換時期のご案内等、世界中のコマツ代理店が工夫を凝らし、多彩なサポート活動を独自に企画・推進しています。

KOMTRAXの他、新たな車載ICTハードウェアも誕生・普及しつつあります。鉱山機械向けの「KOMTRAX Plus」や、本年度導入予定の「KOMTRAX Parts」、そして本年4月、Baumaに出展したICT建機――。

急激に進化を遂げつつある車載ICTですが、どのシステムにも共通するアプローチ、「原点」があります。それは「車載ICTは、車両の使われる現場を『見える化』するシステム」だということ、そして「車載ICTの目的は、『見える化』したデータを活用して、お客様にとって真に価値あるサービス(ソリューション)を構築して、提供すること」だということです。

情報化建機がもたらす「施工現場の生産工場化」

この「原点」を見据え、より高次元の「ダントツ・ソリューション」としてご提案する商品が、今年4月Bauma2013に出展したICTブルドーザ「D61EXi/PXi」であり、ICT油圧ショベル「PC210LCi」です。

世界初のブレード全自動制御機能を搭載した「D61EXi/PXi」は、読み込んだ三次元設計図面の情報に基づき、荒掘削から仕上げ整地までの作業を、熟練を要することなく高い精度で実施できます。また車載GNSSを使って高精度な三次元測量を行い、作業後の地形を正確かつリアルタイムに把握する機能を備えています。

近い将来、最先端の土木・建築現場では、「D61EXi/PXi」や「PC210LCi」一台一台が、測量から掘削整地、検測までをシームレスに処理し、リアルタイムに作業進捗や出来形*情報をフィードバックするという、ハイエンドの土木・建設ワークフローが実現すると考えています。コマツでは、「D61EXi/PXi」の日々の稼働データをKOMTRAXと結びつけ、土木・建設現場をあたかも製造工場のように『見える化』して、更なる業務改善に結び付けていくシステムを検討しています。

特に北米ではGNSS測量データでの工事検収が認められていることから、いち早く情報化施工が導入され、高い効果を挙げています。

*出来形:作業後の地形のことを指し、測量により、設計図どおりに施工されたか管理することを「出来形管理」と呼びます。

現場が求める本当の「価値」とは?

しかしながら、全てのお客様がD61EXi/PXiのようなハイエンドの建機を望むとは限りません。例えば新興国には、オペレータの人材育成や就労管理を何より大切にしたい、というお客様もおられます。お客様が我々に対し期待されるものは、お客様一人ひとり、千差万別です。

先に述べたとおり、車載ICTの「原点」は車両が使われるお客様の現場を「見える化」することにあります。そして、我々がなすべきことは、「見える化」したデータに基づいてお客様と向き合い、お客様の現場に飛び込んで一緒に智恵を出し合い、真に価値あるソリューションを創り出していくことにあります。ICT建機もそうした試みの一つに過ぎないと、私は考えています。

コマツは、顧客志向でお客様と関係性を深め、お客様と共に真の理想を探り、その実現に向けて取り組むマーケティング活動を「ブランドマネジメント」と呼び、推進しています。「ブランドマネジメント」の強化は、車載ICT化の推進と両輪をなすものだと思います。

「ダントツ・ソリューション」は、ICTだけが作り出すものではなく、常にお客様の現場から生まれて、発展し続けていくものです。我々コマツは、現場志向、お客様志向で車両のICT化を推進していきます。

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