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人を育てる
ダイバーシティへの取り組み

コマツでは、多様性は会社の強みであると捉え、社員一人ひとりの基本的人権を尊重し、それぞれが働きがいと誇りを持ち、能力を十分に発揮するキャリア形成の場を提供しています。コマツは個々人の成長と多様な個性の融合を、会社全体の成長に繋げていきます。

インタビュー

  常務執行役員 人事部長 浦野 邦子

―― コマツがダイバーシティに取り組む背景について、聞かせて下さい。

浦野

例えばBtoCビジネスであれば「女性の視点を活かした商品」というのも一つのダイバーシティですが、建設機械などの商品は、使われる現場の特徴や、またお客さまやオペレーターの方々も多くが男性であるという背景があるため、このようなジェンダーダイバーシティの展開は難しい面があります。

しかし「ヒトはかけがえのない財産である」と考えているコマツにとって、ダイバーシティは業績などに関係なく継続的に取り組むべき課題であると考え、昨年度のCSR報告書で考えを明確にしました。まず私が第一に思うことは、コマツで働く人たちが経済的な面だけでなく、精神的な部分でも「コマツで働いていて良かった」と感じてもらいたいということです。そのために、社員のワークライフバランスのための諸施策や、公正な雇用などに努めてきました。既成概念にとらわれることなく、社会の変化や個々の事情などを考慮して柔軟に対応できる会社でありたいと思っています。

しかしそう言った「良い会社」という側面だけで会社が存続できるわけではありません。「強い会社」、すなわち、持続的発展や競争力の維持ができる会社であるためにも、ダイバーシティを強みにしていきたいと考えています。

―― ダイバーシティを強みにするというのは、具体的にどのようなイメージですか。

浦野

現代のテクノロジーや価値観はものすごいスピードで変化しています。そうすると、従来のように社内の一定の人たち、ある特定のカテゴリーの人たちだけでビジネスを行うのでは、変化に対応できなくなってしまう。お客さまさえも気づいていないニーズを取り上げ、次のビジネスにつなげるには、今までとは異質の考え方が必要です。そこで必要なのが多様性です。コマツがオープンイノベーションを積極的に行っているのも同じ理由ですが、そこではこれまでにない考えや個性を持った人たちとやっていく力が必要です。「ダイバーシティはConflict(衝突)だ」と言う人がいますが、確かにそこには価値観の違いから来る葛藤もあるでしょう。しかしそこから活発な議論が生まれ「ダントツ」を生み出す力になるのだと思います。

―― 異なる価値観を取り入れるという点では今年度から、海外現法のナショナルトップ(日本人以外の会長社長職者)5名が執行役員に就任し、また17名のナショナルトップ(うち5名は執行役員兼務)がグローバルオフィサーとなりました。

浦野

コマツのグローバリゼーションは、販売、生産の現地化に次いで、90年代以降はマネジメントの現地化へと進めてきました。コマツウェイの価値観を理解した生え抜きのナショナル社員をトップに登用し、現在では世界中の主要な現地法人のうち、ロシア、ブラジル、インド以外はナショナルトップという体制です。マネジメントの現地化は進んだと言えるでしょう。

さらにコマツがグローバル企業としてもう1ステップ上に行くためには、経営や業務執行においても多様性を重視する必要があると考えています。今回、海外から執行役員やグローバルオフィサーとなった方々には、自国のオペレーションだけでなく、コマツグループ全体について考えて頂くことになります。このように事業戦略や人材戦略の意思決定の際にグローバルな価値観を取り入れ、また次世代を担う部長クラスのナショナル社員育成にも力を入れながら、マネジメントのダイバーシティを進めていきたいと思います。

―― 次に、日本でこの4月から法制化された女性活用推進について聞かせてください。

浦野

2016年4月時点で女性管理職5%(コマツ単独)という目標を掲げて取り組んできました。実績は4.6%で目標には到達しませんでしたが、数字を設定し高みを目指すからこそ、細かい施策にまで取り組めるものだと思います。今後も社員比率、採用比率、管理職比率について目標を定め、女性の割合を増やすよう目指します。

例えば技術系の新卒採用者を見ると、これまでは男子学生が圧倒的に多い機械系が中心でした。しかしコマツの商品・サービスのICT化に伴い、今後は理学系、コンピュータ系の人材も重要となります。これらの分野は女子学生も大勢いますから、女性の採用比率アップが望めます。

また製造現場でも女性が働きやすくなる工夫をしていきます。重量物ハンドリングのための冶具を導入するなど、生産技術を活かして苦渋作業を軽減することは、女性のみならず男性にとっても働きやすい職場環境づくりにつながります。

―― 女性管理職を増やすには、従来以上の取り組みが必要ではないでしょうか。

浦野

前述のように職種ごとの課題に手を打ちながら女性の割合を増やした上で、結婚や出産などのライフイベントを迎えても離職せず、キャリアを積めるような対応をすることが必要です。

そのため特に過渡期の今は、管理職より1つか2つ手前段階の女性を対象に、自分のキャリアプランに向き合ってもらう研修を設けています。ある程度の責任ある仕事を任されることで、人は大きく成長し、また喜びを感じることができます。女性社員はライフイベントより早い段階でそのような経験をし、仕事を継続するモチベーションにつなげてもらいたいと考えています。

  

コマツでは他にも、知的障がいのある人たちが社員として入社し、現場や事務の仕事をする「ビジネスクリエーションセンタ」(BCC)の活動を積極的に進めたり、定年を迎えた方々の再雇用を推進しこれまでの経験を大いに活かして頂くなど、多様性への取り組みを継続してきました。

社会にはこの他にも、一括りにはできない様々な特性や事情を抱えた人たちがいます。LGBTの人たちが安心して働ける職場づくりも忘れてはならない課題と認識しています。これからも「良い会社」と「強い会社」を両立させるための施策として、ダイバーシティに取り組んでいきます。

女性の活躍推進

考え方と目標

コマツは、女性の積極的な採用、育成、そして出産後もキャリアを継続できる環境の整備等の諸施策を積極的に進めております。本年4月にスタートした3カ年の中期経営計画「Together We Innovate GEMBA Worldwide:Growth beyond Our 100th Anniversary(2021)」においても、女性管理職比率を2018年4月までに7%、2021年4月までに10%とする目標を掲げて活動しています。

体制と2015年度の状況

2015年度より、女性社員の育成施策として、将来のキャリアのあり方や働き方を考えるキャリアプラン研修 および 中長期のキャリアプランを上司と計画するCDP(Career Development Program) を本格導入しました。また、柔軟な働き方として2014年度に導入した在宅勤務制度がより定着してきたとともに、社内研修を実施する石川県小松市にあるコマツウェイ総合研修センタでは、子育て中の社員も参加できるよう託児サービスを準備するなど、女性が働きやすい環境整備に取り組んでいます。
 また就職活動中の女子学生にコマツをよく知ってもらうために、職種別の懇談会や、外部団体・学校と協力して女性技術者の交流会やキャリアイベントを開催するなど、女性の積極的な採用活動を展開しています。
 社外評価としては、経済産業省と東京証券取引所が、女性活躍推進に優れた上場企業を選定する「なでしこ銘柄」に、昨年に引き続き選ばれました。コマツの取り組みは、執行役員を含めた役職者への女性登用状況や、性別に関係なく育児・介護休暇等を積極的に導入するワークライフバランス施策などが評価されました。

 東証「なでしこ銘柄」ロゴマーク

DATA

2014年度 2015年度 2016年度
女性社員数(比率) 1,050 (10.3%) 1,091 (10.5%) 1,239 (11.5%)
女性管理職数(比率) 55 (3.5%) 64 (4.0%) 80 (4.6%)
女性執行役員クラス数(比率) 2 (4.7%) 2 (4.7%) 2 (4.2%)
女性採用数(比率) 32 (15.0%) 20 (10.9%) 29 (18.3%)

※いずれもコマツ単独。採用数とその比率は大学新卒で、データは4月1日時点のもの。

マネジメントのグローバル化推進

考え方と目標

コマツは経営の現地化を進めており、海外の現地法人(現法)で採用した生え抜き社員を育て、現法で経営トップとなるようなビジネスリーダーの育成に力を入れています。すでに主要な現法では、ナショナル社員が、トップマネジメントとして経営を担っており、日本人駐在員がナンバー2として彼らをサポートしています。現在、日本人トップの現法についても、ナショナル社員幹部を育成して、順次バトンを渡していくことを目標としています。そのような中で、日本人駐在員は、コマツウェイ、コマツ流のマネジメント・技術・技能を海外に伝えるのが主な役割であり、コマツ(日本)と現法(現地)との橋渡しをする「ブリッジ人材」になることが期待されています。

体制と2015年度の状況

人材育成

現法のナショナル幹部に対して、コマツの経営方針、コマツウェイ、事業戦略等の説明と討論を行う「グローバルマネジメントセミナー」を2006年度から実施しています。2015年度は7月に開催し、アメリカ、チリ、ブラジル、イタリア、スウェーデン、ロシア、中国、インドネシア、オーストラリアの9カ国の現法より11名の経営幹部が参加しました。これにより、コマツの歴史や、生産・マーケティング・開発の考え方を通じてコマツウェイを理解し、参加者自身が「自らの言葉」で語れることを目指しています。
 また、選抜研修として、グローバルで活躍できる経営幹部候補を育成するため、グローバルマネジメント研修を実施しています。選抜対象は日本国内の若手部長クラスおよび現法トップ層で、毎年10名程度を短期間の海外ビジネススクールに派遣しています。2015年度も、10名が、アメリカ、イギリス、フランス、スイスのビジネススクールで研修を受けました。

マネジメント体制

グローバルマネジメントを推進するために、各種のグローバルミーティングを運営しています。コマツおよび海外現地法人のトップマネジメントが一堂に会する「現法主幹者会議」を初め、地域・事業分野別のマネジメント・コミッティや、機能別のグローバル会議体として「品質会議」「安全健康・環境会議」「リーガルミーティング」などを開催し、世界中の関係者が情報共有や意見交換を行っています。
 また、更なる発展のため、2016年度より、主要な海外現地法人のトップ層から構成されるグローバルオフィサー制度を設け、主要な海外現地法人のトップマネジメントを執行役員に任命すると共に、うち14名を執行役員に任命し、コマツの重要な会議体へ参加させることを決定しました。

DATA

全体 うちナショナル社員
執行役員人数 53 5
グローバルオフィサー人数 26 17

※2016年4月1日現在

障がい者雇用の推進

考え方と体制・目標

コマツでは障がい者雇用をグループ全体で推進しています。2018年4月の雇用率について、国内グループ連結で2.3%(現在の法定雇用率は2.0%)という目標を掲げています。
 2008年3月、コマツにおける障がい者の雇用を促進させる専門組織として「ビジネスクリエーションセンタ(BCC)」を人事部内に設立しました。BCCでは知的・発達障がい者の方々が勤務しており、現在9事業所に展開しています。各事業所には指導員が配置されており、日常の執務について教育やアドバイスを行っています。ただ与えられた仕事をこなすのではなく、他の社員と同様、半期毎に目標面談を行い、個人の業績評価によって報酬に差を設けることで、個々が自らの目標をもって執務に取り組むことを促進し、将来の自立・自活を目指した雇用を行っています。
 このようにコマツでは、雇用率という数値目標だけではなく、障がいを持つ人たちと他の社員とが力を合わせて、誰もが「やりがい」をもって働ける職場づくりを目指しています。

2016年度の状況

2016年4月時点の障がい者雇用率は、2.63%(コマツ単独)となっています。BCCについては、合計9事業所で98名の方が勤務しています。組織が拡大したことで、これまで外部に委託していたことや、社内で手間や時間がかかっていたことなどをBCCが担うようになり、会社全体として作業の効率化・経費削減に貢献しています。

DATA

2014年度 2015年度 2016年度
障がい者雇用率 2.50% 2.58% 2.63%
BCC拠点数 9 9 9
BCC人員数 88名 94名 98名

※いずれもコマツ単独。4月1日時点のもの。

高齢者雇用の推進

考え方と体制

日本では高齢化社会が今後ますます進んでいきます。高齢者の雇用拡大に向けての取り組みは、企業として今後も継続させていくべき施策のひとつと考えています。
 コマツ(単独)では、2006年に再雇用制度を導入し、2013年4月からは、同制度を原則として希望者全員が65歳まで勤務できる制度に改定しました。また、「セカンドキャリア支援制度」を新たに設け、65歳までに新たな活路を見出した社員に対して、研修機会の提供、有給休暇や支援金を付与する等の支援を行っています。

DATA

2013年度 2014年度 2015年度
定年退職者数 143人 178人 207人
定年退職者のグループ内再雇用人数 118人 157人 159人

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